2022年6月の記事一覧

令和4年度 第1回学校運営協議会記録

〇老人福祉施設施設長
・学校では実際に就労している先輩(卒業生)から後輩(在校生)に対して実際の体験・経験を通じた就労先でのよかったことや困ったことなどメッセージを伝える機会をもってはどうか。
 →本校では学園生が就業体験などの話題をすることがあり,話を聞いた下級生が就業体験先の希望の参考にすることがある。
 →本校では過去にグループホームを利用している先輩から後輩に話をしてもったことはある。
 →実習先で働いている先輩が直接指導してくれるケースもある。
 →大人が伝えるよりも話の内容を伝えやすい効果は期待できる。

〇道の駅 駅長
・学校評価の具体的な指標設定のレベルが増している。とてもよい。
・卒業後の社会は複雑且つ多様になってきており,不安な面が強い。しかし,キャリアパスポートの活用に注目・期待している。自分の履歴や得意なことや困難なことなどを振り返ることができ,精神的な支えになる効果が期待できる。先輩との紐付けといった点でも,キャリアパスポートの活用により,成果や課題,つまずきなどがあっても前向きに受け止められるようになってほしい。
・複雑な社会に対応するためにICTの活用が大いに求められている。そのために教員自身がICTの活用のスキルを向上させる必要がある。個々の生徒が自分自身のグランドデザインをつくるという観点から,自分でつくった製品等を見るなどして嬉しい・成就感を味わうことも期待できる。
・インターネットアプリの活用には問題点もあるが,文部科学省や経済産業省が推奨するようなアプリもある。現在世界的に活躍している人には障がいなどの側面など関係なく,オンライン上で活躍していることを大いに参考にして欲しい。

〇地域交流拠点施設店長
・卒業生の課題において,休憩時間の過ごし方を教えることは難しい。本人たちが何をしてよいかが分からない。事業所職員も具体的にどのように支援すればよいかが対応できないこともある。場面や状況でどのようにすればよいかということを学ぶ機会を確保することが必要なのではないか。先輩からのメッセージなどもそうした点から有益な情報になるのではないか。
・美馬分校が福祉施設に花の提供を行っているが,単なるプレゼントに終わっているのか?SDG'sというのであれば,プレゼント後のプランタの回収や新たな花の移植などできることはあると思う。


〇大学院准教授
・グランドデザインに示された内容がすばらしい。特に,積極的に社会に参画するということを具体的に示している点がよい。学校評価にも指標の設定を丁寧に盛り込んでもらっている。
・小学部における実態に応じた3段階の評価,中間評価と最終評価の位置付け,評価方法として学級単独ではなくペア学級の態勢を整えている点がすばらしい。社会参加するために必要な力として,役割を果たしたり意思を表明したりすることを挙げており,その上で教員の振り返りと改善につながる仕組みをとっている。他学部も参考にして欲しい。
・地域貢献活動に対して,社会に参加する力を高めることが重要な目的となっているが,児童生徒の実態をどのように測定しているのか?社会に参加するために必要な力は色々あると思うがどのように評価しているのか?
 →西部版就労チェックリストを活用したり,キャリアパスポートの活用を進めている。
・児童生徒個人の力の評価も含め,小学部→中学部→高等部の変化をどのように評価しているのか?具体的な指標のようなものはあるのか?
 →個別の教育支援計画や個別の指導計画などを通じて個人/保護者の要望やニーズを反映させて系統的な指導や支援を行うようにしている。
 →中学部・高等部などでは西部版就労チェックリストの活用を行っているほか,全学部で標準化された客観的アセスメントを活用している。
・就労に向けた評価においては,大人の評価も大切であるが,自分自身でチェックして判断することが重要でないか。高等部入学時から自分自身にとってどのような力が足りないのか,重点的に高めていかなくてはいけないのかといったことを就労希望と照らし合わせて原因の明確化と改善に向けた取組につなげることを大切にして欲しい。
・何よりも生徒も教員も情報共有してともに取り組むスタイルを確立して欲しい。
・小学部-中学部-高等部の地域へのつながりの取組は系統性をもっていると受け止められる。
・ニーズに応じたキャリア教育におけるライフスキル100%という設定目標に対して,単に目標設定すれば達成ということよりも,効果が明確になるように事前/事後の評価を設定することが望ましくはないか。

〇障がい児入所施設 施設長
・このたびの協議会で具体的な進路状況の情報提供をいただけたことがありがたい。
・当施設では,過去には療育手帳A判定が多数であったが,現在では要保護を理由としてB判定の割合が高い。こうした場合,将来的に学校卒業後,生活の場は非常に限られてしまう。どこでどのように生きていくかを本人にも具体的に 理解してもらう必要がある。卒業後のサポートも十分に行き渡っているとはいえない現状がある。生徒自身の理想と実際の就労できる力の現実の差があることが多く見られる。働くこととはどういったことかが言葉でイメージできないので,実際の体験や経験を通じて理解できるようにすることが大切である。

〇NPO法人代表
・学校の取組の熱心さを感じた。小学部→中学部→高等部と体系的な取組として途切れないようにすることが大切と考える。こうしたことが特別支援学校に在籍するメリットに思える。
・NPO法人として特別支援学校の生徒を受け入れる際,受け入れ側が何を意識しておくべきか,楽しい体験だけではないようにするために,地域貢献活動として,スタッフの態勢を整える上での要望を教えて欲しい。
 →学校としては,まず,いろいろな活動や取組があることを生徒に理解してもらいたいという理由から,受け入れていただけることをありがたく捉えている。
 →社会に出て,大人がこのような仕事をしているということを知るところから始めてもよいのではないか。
 →学校から地域に出ることの大切さとともに,学校に来ていただくということをこれから大切にしていきたい。
 →例えばそば打ち体験ではどのような力を生徒に高めさせたいかなどの目的や目標,ゴールなどを相互に共有することが大切ではないか。

〇PTA会長
・生徒は支援を必要としている。一番の支援者は保護者であり,教員や先輩の存在も大きい。いろいろな関係機関の方から意見を聞き,学校生活を楽しみ,苦労することなどを経験し,ゆとりをもって育って欲しい。時には挫折することもあるが,それを乗り越えるようになって欲しい。そうした点からも先輩からの話を聞く機会など有益と思う。

〇婦人会会長
・サービス事業所のA型やB型の違いを教えて欲しい。
・児童生徒の活躍する姿がすばらしいといつも感じる。地域貢献活動による心の充実を期待している。自分ノート・キャリアパスポートの活用に期待したい。
・婦人会では,SDG'sの取組を継続している。小学部とのリサイクル活動もできればよい。

・婦人会では,敬老会に対して福祉事業所が制作している品物を配付して大変喜ばれている。市販のものよりも手作りの風味のある点が大きな理由となっている。そうした点から特別支援学校との連携など深めることができたらと希望する。

〇青少年育成センター所長
・卒業後の社会は厳しい一面がある。一般就労することは大切なことであるが,離職率はどうなっているか?
 →元々の卒業生の数が少ないため,割合で示すことは難しいが,少しでも離職にならないように卒業前から念入りな引継や福祉機関によるサポート体制などを整えて離職しないような対策をとっている。
 →全国的な若者の就職後の3年以内の離職率は40%,特別支援学校では30%と高い数値を示しているが,双方の10%の差はサポート体制を整えているという点での差であると考えられる。
・優しく大事にすればするほど,幅の狭い人間関係になるのではないかと懸念する。職場で自立してやっていける力を育てることが求められている。
・SNSトラブルや裁判に至るトラブルのケースなどへの対応も求められる。
 →スマホ利用に関する指導を学校では行っている。

〇学校長
・委員の皆様の発言には目から鱗のことが多く,大変ありがたい。
 プレゼントした後の次をどうするか?
 キャリアパスポート・自分ノートを卒業後の振り返りに活用する視点
 先輩(卒業生)の話を聞く機会
 学校評価における事前・事後の評価設定
 地域貢献の際の具体的な目標や情報共有
といったことについて,できることは着実に進めていくように校内で検討を深めたい。