学校運営協議会

1. 鉛筆【記録】令和4年度第3回学校運営協議会

投稿日時: 2023/02/24 教頭2

1 会次第
13:15~13:45 授業参観
13:50~14:45 開会・会長挨拶・学校報告
14:45~15:45 協議
15:45~15:50 学校長挨拶・事務連絡・閉会


2 協議における委員からの提言・感想
<青少年育成センター所長>
 Q 生徒指導上の問題として,携帯電話・スマホの問題について美馬市青少年育成センターでは,LINEを通じてたむろするという問題が確認されている。関わる当事者が広範囲に渡り問題発生の特定が困難な状況である。このことは県内全域の問題でもあるが,学校としての対応はどうか。

  携帯電話・スマホは,生活上の必需品になっている。美馬市のアンケートでも小学生で13%の所有を確認した。このことから犯罪に巻き込まれる可能性が高まっていると言える。そのため,予防的な対応を重視している。

 
 A 本校では,年度によって異なるが全体として携帯電話の所有率が低い。しかし,スマホ・ケータイ安全教室の開催や自立活動の指導等を通じてトラブル回避の学習やリアルタイムの問題への対応を行っている。所有者が少ない状況でも予防的な対応として重視している。


   分校では,所有率が高い。生徒の実態による意思のやりとりの不十分さから,トラブル発生に至るケースが多い。また,個別のケースでは外部の見知らぬ人とつながってトラブルに巻き込まれるなどの問題への対応があった。生徒個人への指導に加え家庭の協力が不可欠となっている。

<学校長>
 A 携帯電話・スマホの活用について,危険性の認識や予防的対応の充実は不可欠であるが,反面,ICT活用の観点からスマホは身近なアイテムで,スケジュール管理や電子決済など上手に活用することで生活向上につなげられる。こうしたことから便利なグッズとして指導を進めることも大切に考えたい。


<道の駅 いたの駅長>
 Q 全体として両校の取組のボリューム感が強く,4月よりさらに充実したと思う。特に,キャリア・パスポートの活用に関する報告が聞けてよかった。スマホの危険性に関する話題が出たが,便利なツールとして親子で一緒になって学ぶスタイルを模索してもよいのではないか。子どもにとって大人が学ぶ姿を見て学ぼうとする意欲につながると思う。

 本校の取組に対して,自尊感情をテーマにした取組からキャリア発達へと移行するとあったが,具体的にはどのような取組を考えているのか。また,その評価をどのようにするのか教えてほしい。経済活動やインターンシップなどの観点からキャリアやスキル・資格獲得など自分の質を高めること・成功することは大切であるが,結果にだけ焦点を当てるのではなく,「やってみること」への評価についても重視する必要があるのではないか。チャレンジすることも「主体的な評価」として一緒に取り扱ってもらいたい。

 

 A キャリアに対する捉え方については職業的な資格獲得ということもあるが,高等部の教育では社会に出ることを踏まえ,人として必要な経験を積んでもらいたいという主旨である。他者との関わりや役割を果たすことなど将来に立ち向かっていこうとする力を評価したい。偏った観点に立つものではないように留意したい。

 中学部では,「協力する力」をテーマに掲げ,特定の業種のワークスキル開発という狭い観点ではなく,生徒の将来の多様性や可能性を広げるために「チャレンジ」することをモットーにインターンシップや出前授業などの取組を行っている。

 


<地域交流拠点施設 店長>
 Q 学校評価に対して意見はない。大変素晴らしい取組である。令和2年度からの3年間のコロナ禍における児童生徒へのストレスの影響並びに学校の対応について教えてもらいたい。

 A 小学部においては,これまでできたことができなくなるという教員の緊張感や戸惑いが強かったことは事実である。また,校外での活動に大きな制約を受けたことはダメージが大きかった。しかし,代替の教育内容を工夫することで別の「楽しさ」を模索し乗り越えてきた。特に,コロナ禍の隙間を縫って校外行事を実施したり,蜜を避けた工夫による教育活動を展開したりしてきた。箸蔵小学校との交流及び協同学習においては2年間はオンライン実施,作品交流をするなど新しい形態で実施することにつながった。


 中学部においては,「ピンチはチャンス」と捉え,教員や生徒がともに考えて教育活動を工夫して展開した。特にICT機器活用の充実と発展につながった。施設入所生徒と家庭からの通学生徒間の環境の違いが大きく,経験の差が大きく生じることが懸念されたが,校外学習や修学旅行などは代替案として身近な取組に着目して工夫して実施した。


 高等部においては,生徒の実態から大人に近い意識をもっていることから,メリットやデメリットについて理解できる生徒に対して説明し,「どうしようか」と一緒に相談し工夫を考えることにつながった。修学旅行においては近隣の香川県への日帰り旅行として実施したが,生徒たちの「美味しいものを食べたい」という思いを実現させた。昨年度の修学旅行では,生徒たちが「2日間自分たちの思うように生活したい」という要望を入れ,企画実施に至った。


 美馬分校では,現在3年の生徒が入学したときには,すでにコロナ禍だった。コロナ以前の行事を経験していない。しかし体育発表会や文化祭,教室を分散しての授業など工夫をしてきた。コロナ禍の「みまカフェ」の休業や地域貢献活動の自粛の影響が大きかった。例えば,「お接待活動」では,令和2年度は2回とも教員が代わりを務め,令和3年度は直接参拝者に関わることができずに清掃活動に代替した。令和4年度は春は清掃活動に留まり,秋は従来通りに参拝者へお接待を行った。やはり,地域の方や参拝者に肯定的なフィードバックや言葉かけをもらうことが生徒にとって意欲を高める効果が高かった。教員として教育活動をさせてあげられない悔しさもあるが,生徒なりに前向きに受け止めてコロナ禍の教育活動に取り組んでくれたと思う。因みに修学旅行では,大塚国際美術館に行って教員が創意工夫して設定したミッションをクリアする活動に取り組んだ。

<会長>
 コロナ禍における教育活動の自粛や制約は児童生徒に大きな影響を及ぼした。給食などでも黙食が当たり前となり,楽しい時間を児童生徒間で過ごすことができなくなってしまった。

 


<大学院准教授)>
 Q 学校としての取組の4つの素晴らしいポイントがあった。
  ① コロナ禍での創意工夫を凝らした教育活動が素晴らしい。
  ② 教育目標を達成させるための事前・事後のアンケートによる目に見える評価を行うなどの変容が素晴らしい。
  ③ 小学部によるスモールステップの視点での点数化と評価が素晴らしい。こまめに実態把握を行い評価する手法が○。この結果からデータ上の向上を分析する手続きが大切。この結果から小学部が打ち出した仮説は正しいと言えよう。
  ④ 高等部の地域貢献活動による自尊感情向上を目指した取組で,平均以下の生徒たちの事後アンケート結果が向上したことについて,仮説が正しかったと言え,さらに発展させるとよい。


 次に,気になった点であるが,中学部の自尊感情評価の解釈について,生徒自身の問題に原因を求めるのではなく,どのような指導改善を行わなくてはならないかという視点を強調してほしい。生徒自身の自己認知の要因に加え,どのような教育的アプローチを行うか手立ての問題について検討する必要がある。特に,具体的な評価指標の設定に対する検討をさらに充実させてほしい。「叱る・褒める」などよりよい教育活動につながる評価方法を追求してほしい。本校中学部の「協力する力」のテーマの元,様々な地域と連携した活動に取り組んで,どのような自己肯定感や生徒の力の向上につながったか具体的な評価指標を示す必要があるがどうか。


 分校の地域貢献活動によりどのような力を付けることがねらいなのか? どのような影響が考えられるのか? 地域貢献活動をすることそのものが目的ではなく,活動をとおして,「この力を高めた」「このような力がついた」ということを入れていただきたい。キャリア教育の観点から,ライフスキルの向上を重視していると捉えられるが,ライフスキル向上を目指した取組と解釈してよいか?


 A 中学部における全体のテーマとしての「協力する力」の元,各教科等の指導(授業),学級活動を通じて教員が評価を行った。委員指摘のとおり,より具体的な評価指標を設定した学校評価に改善したい。

 分校では,入学時の状態から自己肯定感や自己理解を高める課題が優先される。教育活動を通じて,自己の将来について考え,自己を見極める力を付けてやりたい。その上で,委員からの指摘を踏まえ,具体的な指標設定に努めたい。地域貢献活動によりどのような力を付けたいか具体的に示すようにしたい。評価の仕方についてもいろいろな方法について検討し,適当なものにしていきたい。


 中学部では生徒による自己評価と教員による他者評価を試行的に実施した。その結果,双方のギャップがあることが分かり,それらを埋めるための取組を行うことが課題と認識している。


<大学院准教授>
 中学部のコメントに対して,「自分を知る」ということの解釈には,「自己・他者評価を合わせて解釈する」ことと「1年実施してみて,目標設定の修正に気付くことが大切」という点について検討してもらいたい。また,「協力」や「連携」の関連付けについても更に検討を加えてほしい。

 


<商工会青年部部長>
 児童生徒が意欲的に教育活動に取り組めている。SNSの活用においては,LINEやツイッター,インスタグラムなどの活用が急速に発展している。子供たちにとって便利であり危ないものである。メダカの販売においても広範囲の年代がやっているなど問題となっている面もある。今後,こうしたことを受けて勉強会があればよいし,こうしたツールの活用は人がつながる上でとても大事なことになってくると思う。「できる-できない」にこだわらず,「チャレンジ」を進めてほしい。「できない」ことを見られることが恥ずかしいと思う子供が多いが,失敗を恐れないことを伝えて
ほしい。

 


<PTA会長>
 親として我が子に対する思いは様々あるが,みまカフェ等の参観を通じて本人なりによく頑張っているのだと感じる。親としてもできるだけ応援したいという気持ちに変わりはない。コロナ禍であってもよく頑張ったと思う。

 

<児童養護施設施設長>
 施設入所生が本校に在籍している。3月で高等部を卒業する入所生全員の進路移行先が無事に決まりよかった。数名が県外出身であったが,目処が立ってよかった。生徒指導上の問題は,早期からの対応の必要性を強く感じる。今後,在学中に継続した指導を学校にお願いしたい。また,様々な生徒指導上の問題に対応するため,進路指導やサポート会議と同様,生徒指導に特化したケース会議の開催なども希望したい。

 


<学校長>
 今年度,最終回として多くの提言をいただけて感謝申し上げる。実現可能な内容を精査し,学校全体で達成できるようにするためのグランドデザインの提案につなげたい。


 学校評価に関しては,結果の評価をどのようにするか,プロセスをどのように評価につなげるかなどについてさらに充実させたい。学校報告にあったように「分かったこと・認められた経験」を積み重ねる教育を続け自尊感情を高める取組に対する評価の在り方を検討したい。


 キャリア・パスポートの活用が注目されており,自己の学習活動の振り返りをどのように効果的に行うか今後の課題としたい。


 今後も地域に愛される学校としての取組を行っていきたい。